元警察本部警察官が教えます!

元警察本部警察官の管理人が警察についてあれこれ書いています。他にも法律、裁判、福祉等についても少々!

独学で法律を勉強する方法(基礎法学)

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1、何か役に立つ勉強をしたい

 多くの人が

「何か役に立つ勉強を始めたい」

と言う理由から法律の勉強を始めたいと考えています。

 

 多く見掛ける考えが

「法律の勉強をしたいんですが、何から始めたら良いですか?どうやって勉強したら良いですか?」

と言うものです。

 

 法学を学んだ経験のある人なら分かると思いますが、この質問にキチンと答えるのは困難です。

 

 と言うのも、弁護士だって全ての法律を把握しているわけではありません。

 必要に応じて、その都度様々な法律を勉強して知識を増やしています。

 

 弁護士は試験に必要な学ぶべき法律が他の法律家資格よりも多いだけです。 

 

 弁護士ですら必要に応じてしか勉強していないのに、ただ漠然と

「役に立つ法律」

とだけ言われても、そもそも知らない人に役立つ法律なんて分かりません。

 

 では、このような貴方に私なら何を、どう教示するのか?

 それは

「とりあえずこれだけ押さえておけば、今後どうとでもなる!」

と言った誰にでも役に立ち得る法律を教えます。

 

 オススメの法を紹介するだけでも凄く長くなってしまうので、一記事一個ずつ紹介していきます。

 

 なお今回の記事【基礎法学】に関してのオススメの本は 

 

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です。

 本記事では抜粋もしています。

 

 

2、法学とはどんなジャンル?

 法学を暗記の学問と勘違いしている人が多くいます。

 どういうことかと言うと、

 

「法律を暗記するんでしょ?」

「判例を暗記するんでしょ?」

のように【暗記】だと思っている人が多いんですね。

 

 しかし、全く違います。

 法学は創造的、クリエイティブで、解釈の学問です。

 

 考えても見て下さい。

 法律家と言ったら六法全書を抱えているようなイメージを持っていませんか?

 

 【抱えている】

と言うことは暗記はしていないんですよ。

 

 暗記しているなら持つ必要がないわけですから。

 

 

3、基礎法学

 法学の勉強を始める前にまずは基礎を抑えておきましょう。

 ただし、正直多くの士業資格者が苦手とする分野でもありますので、独学ならサラッとやるだけで大丈夫です。

 

 

4、日本法の優劣

【重要度 : 最重要】

 法には様々な種類があり、それぞれに優劣があります。

 上位の法下位の法とで対立するトラブルが発生した場合は、上位の法に従うことになります。

 

憲法 > 法律 > 条例 > 規則等

(簡素化するため条約・政令・省令等は省略しています)

 このような力関係にあります。

 

<憲法>

 全ての法の根拠となる存在です。

 「肖像権侵害!」

 「人権侵害だ!」

のような主張は憲法が関連してきますね。

 

<法律>

 国内で適用される存在で、国会で制定される法です。

 刑法法、民法等はこの法律です。

 

<条例>

 都道府県・市区町村で適用される存在です。

 国は関係ないので、制定するのは国会ではなく各市区町村、都道府県の議会です。

 青少年健全育成条例、路上喫煙禁止条例等はこの条例です。

 

<規則>

 これを堅苦しく文章で説明すると混乱するので、簡単に言うと自分達で決めるルールです。

 「この方針で行きますよ!」と言った類のルールです。

 通達、訓令、告示等が規則です。

 

<法>

 上記全てを総称した呼び方です。

 つまり、「法」と言うと憲法も、法律も、条例も、規則も、全部含みます。

 

 

5、法の形態別の種類

【重要度 : 普通】

 法は「○○法第何条」のようなモノだけではないんですね。

 そのような視点での分類です。

 

<成文法>

 明文化されているモノのことです。

 これが馴染みのある、いわゆる

「○○法第何条」

のような法です。

 

<慣習法>

 習慣が決まりのようになったモノです。

 正直これは習慣なので、説明が難しいです。

 一応代表例はあるのですが、その代表例自体が一般的に馴染みのないモノでして。

 

 それでも無理矢理考えるなら、PTA加入等はこれに当たるかもしれません。

 PTAへの加入は条文化されているわけではありませんが、習慣・慣例として加入させられますよね。

 

 イメージとしてはそんな感じのモノです。

 

<判例法>

 過去の裁判結果が決まりのようになったモノです。

 例えば、覚せい剤で逮捕された人がいたとします。

 

 普通は初犯であれば

懲役1年6ヶ月、執行猶予3年

の実刑判決が出ます。

 

 これは別に法的な決まりがあるわけではありません。

 しかし、過去の判例を基準に常識的に決まっているようなモノです。

 つまり、過去の判例が法のような状態になっているわけですね。

 

 

6、六法

【重要度 : 重要】

「法律と言ったら六法全書!」

なんて思う人もいるくらいに法の勉強と切り離せない存在かと思います。

 

 しかし、この

「六法とは何か?」

を知らない人が多いので説明します。

① 憲法

 前述の通りです。

 全ての法の基礎となる法の絶対王者です。

 

② 民法

 国民の生活の基礎となる法律です。

 買い物についてとか、家族とは?等々身近なことについて定められています。

 そのためこれだけでかなりの量になります。

 しかし、民事を勉強する場合は絶対に外せない法律です。

 

③ 民事訴訟法

 民事トラブルで裁判を起こすときの手続きに関する法律です。

 民事裁判と言うと、損害賠償訴訟とか、離婚裁判等が有名ですね。

 

④ 刑法

 窃盗罪、殺人罪のような、いわゆる犯罪を定義しているような法律です。

 罰金幾ら、懲役何年等もこの刑法に定められています。

 

⑤ 刑事訴訟法

 刑事裁判の手続きについて定めている法律です。

 要は犯罪者の裁判についてと言うことです。

 

⑥ 商法

 商売をするときの法律です。

「商売を始めるときには、このようなことを決めなければならないよ!」

とか

「このようなトラブルの時には誰がこのように責任を取りなさいよ!」

とか

 全般的に決められています。

 

 

7、法学に特有な用語例

【重要度 : 重要】

 一般的に使われている言葉でも、法では全く違う使われ方をされていたり、同じような言葉で違いを意識していないような言葉等を法学では明確に意味を定義して使い分けています。

 

 それらの代表的なモノだけ紹介します。

<善意・悪意>

善意 : 知らないこと

悪意 : 知っていること

 

 一般的に善意・悪意と言うと、良い感情、悪い感情と言う意味で使うかと思います。

 しかし、法的には全く違います。

 上記以上の意味はありません。

 

 知っているか、知らないかと言うだけの意味です。

 使用例としては、

 

 女性が、男性が無言で差し出した指輪を貰いました。

 女性は、この指輪は婚約指輪であることに善意であったので婚約は成立しない。

 

 ちょっと無理矢理過ぎましたかね?

 善意は要は知らないと言うことですので、女性は婚約指輪だと言う意図を知らないまま指輪を貰ったと言う意味ですね。

 

<早さを表す言葉>

【直ちに、速やかに、遅延なく】

 貴方は違いがわかりますか?

 法はこれらに違いを付けています。

◎ 直ちに

「他のことを差し置いてでも、最優先で!」

と言う時に使います。

 

◎ 速やかに

「よっぽどのことがない限りは急いで!」

と言う時に使います。

 

◎ 遅延なく

「あんまり遅くならないでね!」

と言う時に使います。

 

<決めつける>

 100%確実なことなんてそうそうありません。

 しかし、そんな状態でも決めなければならないことも多いです。

 そこで使われるのがこれらの言葉です。

 

◎ みなす

 ある出来事で、事実と異なる可能性があったとしても、異なる可能性のあるそれを事実として決めつけることです。

 この場合、後に事実と異なる証拠等が出てきても、みなしは取り消されません。

 

 例えば、

「あの犬は黒色とみなす!」

とします。

 すると実際は汚れていただけで、汚れを落としたら白色の犬でした。

 それでも、みなした以上はその犬の色は変えられないため、法的には黒色のままと言うことになります。

 

<推定する>

 状況はみなす場合と同じです。

 しかし、その後の証拠等によって取り消され得ます。

 

 先ほどの例で言うなら、

 「あの犬は黒色と推定する」

 とします。

 すると実際は汚れていただけで、汚れを落としたら白色の犬でした。

 推定する場合は取り消せるので、法的に「その犬の色は白色でした!」と訂正されます。

 

<役所で良く目にするモノ>

 これはそれほど重要ではないのですが、身近に良く目にする言葉なので紹介しておきます。

◎ 原本

 確定的なモノとして作られた文書。

 簡単に言うとコピー等をしていない大元の文書ですね。

 

◎ 謄本(とうほん)

 原本を全部写した文書。

 簡単に言うと全部をコピーした文書ですね。

 

◎ 抄本(しょうほん)

 原本の一部を写した文書。

 簡単に言うと、必要な一部分だけをコピーした文書ですね。

 

 

8、最後に

 基礎法学だけでも、言いだすとキリがありません。

 今回の紹介も私が一部を独断と偏見によって抜粋し、紹介しただけです。

 しかし、これだけ知っているだけでも大分賢くなった気がしませんか?

 

 法学の一つの楽しみってその

「なんか賢くなった気がする!」

にあると思います。

 

 そのため、そのように感じるなら貴方に法学は向いていると思います!

 

 なお、その知識を少し活用して、もう少し「面白い!」と感じたいなら

【貴方のセンスを問う問題。「受精卵が盗まれた!?」】

も一読下さい。

 

 「考える」と言う楽しさを貴方に!

 

 

 具体的な法律を学びたい貴方はこちらからどうぞ!

www.policefuta.work

 

 

 

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