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独学で法律を勉強する方法(民法)

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はじめに

 本記事からお読みいただいても問題ありませんが、まずはこちらの記事を先にお読みいただくことをオススメします。

 

www.policefuta.work

 

 基礎法学編では、日常的に使っている言葉とは意味が違う法律用語や法の種類、法の優位性等について書いてあります。

 

 

1、民法とは?

 私人間に関する法律の基礎となる法律です。

 もっと簡単に言うと、自分達の私生活に関して、全般的に規定している法律です。

 

 そのため、民法は法律の中でも特に莫大な量で、条文は(平成30年現在)1044条にもなります。

 近々更に改正が予定されているので、条文は変わる可能性もあります。

 

 大まかにどんなことが書かれているのか各項目ごとにご紹介していきます。

 なお、順序は条文順ではなく、行政書士試験テキストに準じています。

 

 

2、能力者

 能力者と言うと、ゲームやアニメ等での特殊能力を持っている人のことをイメージするかもしれませんが、民法では違います。

 民法では

◎ 権利能力・・・権利を受ける能力

◎ 意思能力・・・意思表示をする能力

◎ 行為能力・・・責任を取る等の能力

等について取り決めをしています。

 

 この部分は日常的に意識する人は少ないと思います。

 特にこの部分を意識することがあるとすれば、胎児、子供、精神疾患罹患者、知的障害者、認知症罹患者等ですね。

 

 民法知識を必要とする法律家資格では特に行為能力者に関して重要視している傾向にあります。

 行為能力に制限が掛かっている人のことです。

 そのため【制限行為能力者】と呼びます。

 

大きく分けると4種類に分類されます。

<未成年者>

 未婚の20歳未満の者のことを指します。

 結婚していると20歳未満でも成人とみなします。

 

 未成年者は原則、一人では法律行為を行うことは出来ません。

 法律行為とは、契約行為等です。

 

 だから未成年者だけでは、中古のゲームソフトを売ることが出来ないんですね。

 物の売買は契約行為ですので。

 でも買うことは出来て変だと思いませんか?

 

 法学では

【原則】

と言ったら、必ず

【例外】

があります。

 

 これはその例外の一つになります。

 

 その細かい部分を言うと初学者だと少し混乱するかもしれないので省略します。

 

 親から

「自由にこの範囲で使って良いよ」

と親の意思の元にもらった

【お小遣いの範囲】

で買うから未成年者単独でも買い物はオッケーと言う感じです。

 

 

<成年被後見人>

 イメージとしては、重度の精神疾患で錯乱しているとか、重度の認知症等をイメージして下さい。

 物事を正常に判断できない状態にある人で、裁判所に認められた者を指します。

 

 どんなに判断能力がなくても、裁判所が認定しないと成年被後見人ではありません。

 この部分は行政書士試験でもたまに狙われますからね。

 

 物事を正常に判断できな状態の人では、財産管理や契約なんてキチンと出来ません。

 たまに新聞屋等が、正常に判断できない認知症の高齢者と契約をバンバン取って親族とトラブルになっていますが、このような状態の人を守るための制度がこの後見制度です。

 

 ケースがケースなので、介護福祉士や社会福祉士試験でも、存在自体は出題されますね。

 

 未成年者保護と同じで、成年被後見人が単独で行った契約行為等は、本人からでも、保護者からでも一方的に取り消せます。

 つまり、なかったことにできます。

 

 

<成年被保佐人、成年被補助人>

 これらは成年被後見人よりは物事を判断する能力がある存在です。

 原則的には単独で法律行為を行えます。

 例外的に行えない行為があるって感じです。

 

 程度の違いなので、この程度にしておきます。

 行政書士等の法律家を目指すなら、被保佐人や被補助人でも単独で行えない行為、定義等は覚えましょう。

 

 

3、権利

 人には様々な権利があります。

 無数にあると言っても過言ではありません。

 その権利について書かれています。

 

「権利の上に眠る者は保護に値せず」

なんて格言があるくらいで、民法においてこの権利はとても重要な部分かと思います。

 

 この権利があるから、それ以外の部分も生きてくるわけですからね。

 ちなみに、人権も権利ですからね。

 

 各権利を紹介していったらそれだけで本になってしまうので、代表的な権利の紹介だけで終えます。

 なお、今回は省略してしまいましたが、時効や代理等も権利の分野になります。

 

<占有権>

 実際に物を持っている人が有する権利です。

 持ち主の権利とごっちゃになっている人もいるのですが、占有権はその物の持ち主ではなく、実際に今その物を持っている人が有する権利です。

 

 そのため泥棒でも占有権は持ちます。

 盗んでいようと何だろうと、その物を持っているわけですからね。

 

 部屋を借りている人とか、駐車場を借りている人も、その部屋や駐車場の持ち主になったわけではないので、占有権者になります。

 

 

<所有権>

 持ち主しか有しない権利です。

 物が手元になくても、その物の持ち主は変わりませんよね。

 その持ち主としての強い権利が所有権です。

 

 所有権がないと原則的には物を売ったり、あげたりは出来ません。

 【原則的】にはなので、先ほども言ったように【例外】はありますが。

 

 

<抵当権>

 民法を独学で勉強している人の多くの人がと感じたり、挫折することの多いのがこの抵当権辺りです。

 しかし、決して難しいわけではありません。

 何か聞き慣れない言葉だからです。

 

 要は不動産(土地・建物)を担保(=人質?物質?)としてお金を借りるようなモノのことです。

 

 家を買うときをイメージすると分かりやすいかもしれません。

 今から買う家を担保にしてお金を借りますよね。

 そして、借りたお金の支払いが出来なくなると、家を持って行かれます。

 だから人質(物質?)の方がイメージしやすいかもしれませんよね。

 

「家を持って行かれたくなかったら、借金をキチンと払いなさい!」

と言うことですね。 

 

 

<賃借権>

 これは賃貸アパート等を利用する時の権利と思って問題ありません。

 

 別にアパートに限定せず、

「鉛筆貸して」

みたいなことも賃借権ではあるんですけどね。

 

 借りた物はキチンとした使い方をして、キチンと返しましょう。

もしも借りた物を壊しちゃった場合、失くしちゃった場合は弁償しましょう!

等を決まりとしているだけの部分です。

 

 

4、契約

 契約行為も権利に負けずとも劣らないくらい沢山の種類があります。

 これも一つ一つ見て行くと膨大な量になるので、幾つか抜粋して紹介します。

 

<売買契約>

 要は買い物のことです。

客は

「この商品下さい」

とレジに持って行く等して店員に意思表示をします。

 

 それに対して店員は

「良いですよ。売りますよ」

と返答、又は無言でもレジを通して意思表示します。

 

 これは契約なんですね。

 普段意識しないのは、そこに何のトラブルも起きていないからです。

 スーパー等でのトラブル例としてこちらをお読みください。

 

【スーパーの店員がカゴを袋詰め台まで運ぶサービス。「それが盗まれたらどんな問題が生じるのか?」考えてみた】

 トラブルが特に発生してない状態でこのような見解を示すと

「面倒な人。クレーマーか?」

と言われてしまうのですが、

「独学でも法律を学びたい」

と考えている貴方は、このような不測の事態に対処できるように法律を学びたいんですよね?

 

 人が予測もしていないような平穏な日常に、トラブルを想定して考え備えておくことは重要ですからね。

 これは備えであって、クレームではありません。

 

 

<賃貸借契約>

 占有権、所有権にも関わってきますが、物の貸し借りの契約です。

 この場合、【物】には不動産も含みます。

 

 

<贈与契約>

 物をあげるだけの行為も契約です。

 

 売買契約でも言ったように、トラブルにならなければ日常生活上、その行為が契約行為だと意識もしないような行為も契約です。

 

 法学を学ぶと言うことは、その意識もしないようなトラブル発生時の処理はどうなっているのか?の備えと言えます。

 

 

5、結婚

 民法には権利や契約だけではなく、親族関係の規定もあります。

 結婚とは、新たに親族関係になる行為ですからね。

 

「結婚するとどうなる?」

を法律の目線から見て行きましょう。

 

<苗字をどちらかの苗字に統一しないといけない>

「夫婦別姓を認めろ!」

と裁判で争われていますので、今後変わる可能性はある部分です。

 

 

<お互いに協力して生きていかないといけない>

 不倫問題はこの部分に反する行為として損害賠償の対象になっています。

 ちなみに、不倫での悪者は、自分の配偶者ではなく不倫相手になります。

 

 この部分を壊そうとする行為と解釈するためですね。

 だから法的には自分の配偶者を責める前に、不倫相手を責める方が自然です。

 

 

<夫婦間の約束、契約行為はいつでも取り消せる>

 この部分を知らない人はとても多いですね。

 

 「離婚前に養育費の具体的なことを決めても意味がない」

と言われるのはこの部分が理由です。

 

 例外はあるのですが、原則的に夫婦間の取り決めはいつでも取り消されてしまいますからね。

 だから離婚前に何か取り決めをしたい場合は公正証書に残すように言われます。

 第三者も含めての証書ですから。

 

 

<夫婦いずれに属するか不明な財産は共有財産になる>

 この部分も知らない人が多いです。

 全ての財産が共有財産になるわけではありません。

 

 名義がある財産や婚姻前に有していた財産は個人の財産です。

 何でもかんでも夫婦の共有財産ではないんですね。

 

 

<夫婦連帯責任>

 第三者との関係では夫婦は一体の存在になります。

 

 そのため、

「旦那が私の知らないところで勝手に借金したんだから私は知らない」

は通用しないんですね。

 

 

6、親族関係

<妊娠・出産>

 結婚も親族関係を構築する行為ですが、他にも出産もそうですね。

 昨今では子供の関係でのトラブルも多く耳にしますよね。

 

「これは誰の子供だ?」

とDNA鑑定するなんて話も聞きますからね。

 

 しかしDNA鑑定をしなくても、法律では出産時期その前の行為時期などによって誰の子供か決めています。

 

 他にも

「交際時に出産し、子供が生まれたから結婚をする場合の子供の親は?」

とか

「子供が生まれるような行為をしていないから、この子供は私の子供じゃない!」

等と否定する制度等も細かく決まっています。

 

 

<養子>

 産まなくて子供を迎い入れる方法はあります。

 それが養子縁組です。

 養子に迎えるための色々な手続きや条件等について規定しています。

 

 養子の相続権等の権利関係は実の子供と同じです。

 

 

7、遺言、相続

 遺言遺産相続に関することも民法に規定されています。

 遺言はキチンと法的に決まった方法で作成・保管しなければただのメモ、手紙になってしまいます。

 

 つまり、遺言書としての意味をなさなくなると言うことです。

 理由は簡単で、キチンとした遺言書じゃないと悪意ある者に偽造されてしまう可能性があるからですね。

 

 本人は亡くなっており、

「それは偽物だ!」

と主張できませんからね。

 

 相続に関しては

「この場合には誰が、どのくらいの割合で相続するのか?」

「相続したくない場合はどうする?」

「一部だけ相続したい場合はどうする?」

等について色々と決められています。

 

 近いうちに義理側の配偶者に関して、相続権の改正が行われる予定のようです。

 現行法では義理側の配偶者には相続権がありませんが、請求出来るようになるようです。

 少し分かりにくいですかね?

 

 現行法では、旦那側の父親が亡くなった場合。

 例え義理の親族であるが介護を頑張っていても相続は出来ません。

 

 しかし、改正案では、

「介護頑張ったんだから評価してよ!相続させて」

と請求できるようになるんですね。

 

 まだ案の段階ですけどね。

 

 

8、最後に

 最初にも言ったように、民法はとても幅広く莫大な量です。

 物凄く省略し、簡単に紹介してもこれだけの量になってしまいます。

 

 今後各個細かく紹介していくかもしれませんが、興味を持ったなら、私が記事を書くのを待つよりも、自身で民法の本を買って勉強する方が早いと思います。

 

 民法の権利や契約でのトラブル解決の基本的な目線は

「出来るだけ多くの人が大きな損をしない解決策」

です。

 

 そのため、過失や悪者度合い等によって変動するモノの、基本的にはトラブルに関係する皆が負担を分け合います。

 

 そのため、自分だけの立場で考えてしまうと理解し難いかもしれません。

 

 他の法律にも興味を持った貴方はこちらからお読みください。

www.policefuta.work

 

 独学でキチンと勉強するなら、こちらの本をどうぞ。

 法律の本なのでどうしても文章は多めになってしまいますが図も多めで、法文だけではなく身近な例をあげてくれます。

 

「ダブルクリックをして、2件注文してしまった場合は?」

等。 

 

 

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