元警察本部警察官が教えます!

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私有地内の放置自転車処分方法とトラブル時の対処法

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はじめに

 敷地内に自転車が放置されていた場合、どうしてたら良いのか分からない人は多いと思います。

 そのまま貰って乗っていたら自転車盗、又は占有離脱物横領罪で貴方が検挙され得ます。

 

 無断で敷地内へ放置されている自転車でも、土地所有者が勝手に捨てたら同じ罪に問われ得ます。

 

 ではどうしたら良いのでしょうか?

 今回はその対処方法について具体的に書いて行きます! 

 

1、法的に放置自転車に対して行えること

 土地所有者の権利で出来ることは

◎ 自転車の持ち主に対して「自転車を持って帰れ!」と土地から排除請求ができる。

 

◎ 自転車の持ち主に対して損害賠償の請求が出来る。

です。

 

 つまり邪魔だからといって、勝手に放置自転車を敷地から出したり、勝手に処分することは出来ません。

 

 あくまでも自転車の持ち主に対して要求・請求が出来るだけです。

 しかし、実務上は沢山の放置自転車を処分しています。

 その方法と、それによって発生すると想定されるトラブルの対処法について今回は話していきます。

 

 

2、警察に照会してもらう

 被害届が出ている自転車だと私有地内でも犯罪の遺留品になります。

 遺留品だと警察が回収します。

 それで持ち主も判明しているので、あとは全部警察がやってくれるので解決です。

 

 問題は被害届が出ておらず、持ち主も判明しない場合です。

 私有地内で盗品でもない場合、警察は一切何も出来ませんので、土地所有者が自分で処分しなければなりません。

 

 

3、一定期間張り紙・告知をする

 自転車の持ち主が何でその場所に放置しているのかが分からない以上、まずは

「どかして下さい」

張り紙をしましょう。

 

 そもそも法定された手続きではないので、この【一定期間】に決まりはありません。

 それでも概ね2週間くらいが一般的です。

 

 張り紙の内容例としては

【○月○日までこの札が付いたままの場合は廃棄処分をします。】

のような感じです。

 

 なお、その張り紙をしている状態や防犯登録シール等を写真に撮っておいて下さい。

 後にトラブルになった時用の証拠です。

 

 

4、処分方法

◎ 粗大ゴミとして出す(1000円くらい)

◎ ゴミ処理場に持ち込む(重さによるも500円以下)

◎ 放置自転車回収業者に依頼する(業者による)

 

※ 持ち主が現れないからと言って、その自転車を貰ってしまうとか、「欲しい」と言う住人がいるのであげる等の処分方法はオススメしません。

 

 照会時点で被害届を出していないだけとか、状況によっては窃盗罪又は占有離脱物横領罪の被疑者として検挙されるリスクがあるからです。

 

 事情を説明しても、被害届が出ている自転車に乗っていれば検挙され得ます。

 リスクが高すぎますよね。

 

 

5、放置自転車回収業者に依頼する

 キチンとした業者を選ぶ必要はありますが、全部丸投げできます。

 盗難照会、張り紙・告知等を全部やってくれる業者もあれば、それは自分でやって、回収だけの業者もあります。

 

 それによって値段が違います

 ただし、トラブル防止を考えるとここはケチらず、多少お金は掛かってもキチンとしている業者を選びましょう。

 

 この部分が不安なら、業者ではなく、自分で処分するのが確実です。

 

 

6、考えられるトラブルと対処法

 自転車を処分後

「置いておいた私の自転車返せ!」

と持ち主が現れる場合です。

 

 最初に言ったように、土地所有者には勝手に処分する権利は法定されていませんので、困ってしまいますよね。

 そこで、自転車の持ち主にどう交渉するかの一例を紹介します。

 

<本当に持ち主かどうか確認をする>

 「私の自転車だ!」

と言うだけでは証拠がありません。

 

 もしかしたらその人は放置自転車があることを前から注視していて、

「貰ってしまえ!」

と思っていた赤の他人の可能性だってあります。

 

 そのため、防犯登録カード等、自転車の持ち主である証拠書類等の提示を求めましょう。

 それがない場合は信じてはいけません。

 

 なお、相手が防犯登録カードを紛失している場合は、

「購入したお店に購入日を伝え、購入記録から照会して貰って下さい。」

旨を伝えて下さい。

 

 防犯登録カード紛失時等の、持ち主であることの証明に関しては

 

www.policefuta.work

 の後半に少し書いていますので、参照下さい。

 

 

<持ち主に配慮した処分を主張>

 キチンと一定期間張り紙をし、自転車の持ち主に配慮した上で処分していることを主張して下さい。

 その主張のために、張り紙時にその状況を撮影するようオススメしました。

 

 これは権利とか、権限の主張と言うよりも、相手の過失の指摘とか、相手が放置していたことの言い訳を潰すための材料です。

 

 2週間以上も放置していて 

「友達の家に行っている間少し停めていただけ」

なんて言い訳は通用しませんからね。

 

<損害賠償請求をする>

 この時点で持ち主が現れているわけですから、土地所有者としての権利が行使できます。

 

 既に自転車は処分しているので、「どかしてよ!」の請求は出来ませんが、もう一つ出来ることがありましたよね?

 それが損害賠償の請求です。

 

 そのため、

「自転車の置かれていた場所は私有地であり、勝手に放置する行為は不法占有行為なので損害を賠償してください。」

と請求することが可能です。

 

 損害賠償としては、

◎、自転車の処理に掛かったお金

◎、その間駐輪場を使えなかった分の損害

は請求しましょう。

 

<相殺を提案する>

【土地所有者 → 自転車の持ち主】

 この関係では損害賠償金を請求しています。

 

【土地所有者 ← 自転車の持ち主】

 この関係では自転車の代金を請求しています。

 

 お互いにお金の請求をし合っている状態ですので、お互いの請求を相殺(チャラ)にしてしまうのが一番手っ取り早いと思います。

 

 

7、最後に

 実質的には、土地所有者が勝手に放置された自転車を処分するお金分だけをしています。

 このようなリスクも土地を所有すると言うことで考えるべきリスクなのかもしれません。

 

 このようなちょっと理不尽にも思えることで困る人を少しでも減らしたいなら、自転車が盗まれた時には必ず被害届を出しましょう!

 

 そうすれば警察が処理してくれるので、放置自転車で困る土地所有者が激減します。

 

 

「どうせ見つからないだろう」

じゃなく、それで助かる人もいると言うことなんですね。

 

 

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