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お金の心配がなくなる!? 全額支給でほぼ返済不要な奨学金!? 新聞奨学金生活。

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はじめに

 お金の心配がなくなる奨学金とは新聞奨学金のことです。

 私は大学生の時に、この新聞奨学生でした。

 

 本記事はちょこちょこと書き換えをしたり、記事の場所を移転したりしていますが、最初に記事を書いた3月7日は、私が新聞奨学生として初めて東京に行った日です。

 

 高校を卒業して春休みを楽しむ暇もなく、すぐ行ったわけですね。

 そんな日に、当時の新聞奨学生生活をご紹介しようと思います。

 

 

1、新聞奨学生のメリット

 生活を紹介する前に、メリットを簡単にご紹介します!

<学費全額支給>

 一般的な奨学金と違い、支給上限が特にありません。

 学費を全額支給してくれます。

 

 ただし、入学費と授業料ですので、参考書代金等は含まれません。

 それでもとても助かりますよね。

 これ一個だけで複数奨学金に申し込む必要がないわけですからね。

 

 

<返済ほぼ不要>

 これは新聞社により上限が違いますが、返済不要上限と言うモノがあります。

 この額分は返済をしなくて良いんです。

 

 つまり、この額に収まれば返済は0円です。

 新聞社によっては、安く収まれば逆にお金を奨励金として貰えるところもあります。

 超えた場合は、超えた分だけ返済すれば全て完済になります。

 

【読売育英奨学会】 返済不要額400~520万円

【朝日奨学会】 返済不要額520万円

【日経育英奨学会】 返済不要額450万円

【産経新聞奨学会】 返済不要額360~500万円

 

 この返済不要額は4年制大学コースの上限です。

 幅があるのは、集金業務をやるか?やらないか?等による違いです。

 

 途中で挫折した場合は、それまでに支給された額全てを一括返済になりますので、途中で挫折すると大変です。

 

 私は日経でやっていましたが、正直日経がオススメです。

 返済不要上限は一番低いですが、日経だけ集金業務なしで、休みも一番多いからです。

 

 集金業務の有無で、地獄度にかなりの差が出ます。

 少しでも自信がない人は日経にした方が無難です。

 それでも挫折する人は沢山いますが。

 

 

<給料+ボーナスが出る>

 奨学金とは別に毎月給料が出ます。

 年に二回ボーナスも出ます。

 

 集金なしで、約9~10万円くらい

 集金ありで、約12~14万円くらい

 ボーナスは2~4万円×2回くらい

 

です。

 コツコツ貯金をしていれば返済不要額を超えても、余裕で一括返済可能です。

 

 

<家賃が掛からない>

 基本的に住み込みですので、家賃が掛かりません。

 設備は配属されるお店によるので何とも言えません。

 私が居た専売所は、共同シャワー、共同トイレ、共同洗面台、共同洗濯機、共同食堂でした。

 

 ちなみに、食事は有料で、朝・夜出ていました。

 お昼は出ませんでした。

 

 

<就職に有利>

 新聞奨学生の生活はかなり大変な生活になります。

 通常の仕事として新聞配達業務をこなしつつ、大学にも通うためです。

 そのため就職の際、性格に難がなく、面接まで行ければほぼ無双状態です。

 

 通常、まだやったこともない仕事に対して

「誰よりもやる気や根性があります!」

と言ったところで所詮は口だけの可能性があり、面接官としては鵜呑みにはできません。

 

 しかし、新聞奨学生の場合は、それをやり遂げた事実だけで

「誰よりもやる気と根性がある」

と示せますし、実際にほとんどの面接官はそのように受け取ります。

 

 だから、新聞奨学生をやり遂げたと言う経歴はとても就職時に有利です。

 私は新卒時だけではなく、その後社会人として転職する際も含めて、面接まで行った就職は全て一発採用となっています。

 

 

<特典がある>

 新聞社によって特典は違うと思います。

 私は日経しか知りません。

 

 当時の日経だと、

◎、海外旅行招待(招待なので、全額支払ってくれます)

◎、オーダーメイドスーツが貰える

◎、本社で奨学生の卒業式を開催してもらえる

 

 新聞奨学生の雇用者は本社ですので、何かと本社(別館)にはよく行きます。

 日経新聞だと別館は本社から歩いて5分以内の場所にあります。

 

 

2、新聞奨学生のデメリット

 かなり金銭面で優遇されていますが、当然簡単にそれだけのモノを得られるわけではありません。

 そのメリットに負けずとも劣らない大変さがあります。

 

<仕事優先>

「私も新聞配達のアルバイトをしていたから大変さは知ってる」

なんて言う人がいます。

 

 ハッキリ言って、これは新聞奨学生が一番

「は?」

怒りを覚える言葉です。

 

 新聞奨学生はアルバイトではなく、専業職員と同じ量、同じ責任で仕事をします。

 ハッキリ言ってアルバイトなんてお遊びです。

 

 アルバイトは、配達部数も、新聞種数も、配達区域も、全部極少量です。

 アルバイトは責任なんて負いません。

 

 新聞奨学生は専業職員と同じ担当区域を任されます。

 

 私が担当していた区域は、

朝刊:部数約450部、新聞種数約10種類(曜日によって発行がある、ない有り)

夕刊:部数約400部、新聞種数1種類

でした。

 

 配達時間は全てキチンと配り終わるまでです。

 区域担当ですので、就業時間で区切られるわけではありません。

 

 それまでは基本的には応援も来ませんし、勝手に途中で終わることは出来ません。

 そのため、配達先を覚えるまでは、天候等によっては朝9時を超えることも有り得ます。

 

 ここまで掛かると大学の1時限目には出席できません。

 しかも、そこまで掛かると苦情もバンバンですので、苦情対応もします。

 

 更に、焦っているし、まだ慣れていないと配達間違い未配達(不着)もします。

 それらも対応していると10時を超え得ます。

 

 ここまで掛かってしまうとお客だけではなく、専業職員からも怒られます。

 数時間したら直ぐ夕刊が始まる時間ですし、何よりも心身共に疲れ切ってしまいそのような日は大学に行けません。

 だって仕事優先ですから。

 

 私はハッキリと言われました。

「大学に行くために仕事をしているのではなく、仕事をしながら大学に行っている立場だと思え」

と。

 つまり、仕事優先、大学はおまけと言うことのようです。

 

 

<お客から人として見られない>

 全員が全員とは言いませんが、新聞屋を人と思っていないお客は存在します。

 私は普通に

「言葉を理解するだけの猿のくせに。客の言うことだけを聞いていれば良いんだ」

のような暴言は何度も吐かれていました。

 

 暴言だけならまだしも、それだけではありません。

【好きの逆は嫌いではなく、無関心】

と言われますが、新聞屋はこれも体験します。

 

 基本的に街中で頑張っていても人の目に入っていません。

 つまり、そこに存在していますが、存在が認知され難い存在なんですね。

 これはとても強い疎外感を味わいます。

 

 

<朝早い>

 何と言っても新聞屋はこれですよね。

 ちなみに、お店によって印刷工場から新聞が届く時間が違います。

 

 私の居た東京だと、都心から離れた場所の方が早くなります。

 と言うのも、多くの人は新聞を出勤前出勤途中に読みたいからです。

 

 そのため、都心部の方が遅くても大丈夫と言うことで、都心から離れている地域の方が早いんです。

 

 私は23区の外れの方だったので、朝3時でした。

 まぁ、朝が早いことは慣れますので、世間が思っているほど辛くはないですが。

 

 特にこれからの季節、夜桜舞う道を通るのはとても神秘的で気持ちが良いですよ。

 

 ちなみに、いつでも寝れる能力(?)が備わるので、卒業記念の海外旅行で時差ボケする人は一人もいませんでした。

 

 そもそもの日常生活時間がズレていますしね。

 

 

<犯罪に遭遇し得る>

 男性は泥棒等の犯罪現場を目撃してしまうことがたまにある程度です。

 

 問題は女性です。

 恐らく女性にとってはこの部分が一番のデメリットだと思います。

 

 女性はほぼ間違いなく変質者に狙われます。

 変質者にとっては女性新聞奨学生はとても狙いやすい対象だからですね。

 

 考えてみれば当たり前ですよね?

 新聞屋さんは深夜暗い時間帯に、人通りのない裏路地等に、一人で、毎日同じ時間に入って行きます。

 

 人目のない時間、場所に、毎日同じ時間に女性が一人でいるわけです。

 変質者に狙われない方が不自然なくらいですよね。

 

 そのため女性を受け入れていない専売所もあります。

 私のいた専売所でも、女性は全員追いかけまわされた経験があったようです。

 

 お店の周囲の区域担当にし、バイクで配達をさせる等、ある程度対策はしていたようですが、それでも追いかけ回されるようです。

 

 少しでも自分の身を守る防犯に興味がある貴方はこちらをどうぞ。

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<他の人と違う生活>

 これは時間的なことではありません。

 大学生として、他の大学生と生活環境が違うことでの苦悩です。

 

 所詮大学生はまだ若造です。

 そのため、周囲の友達や大学生達が遊び回っていたり、勉強をしていたり、様々な活動をしている中、自分は仕事で走りまわることになります。

 

 他者と比べて、その違いから

「自分、何やってるんだろう」

と落ち込むことがあります。

 

 何気にこれが一番キツイです。

 この感情は、警察学校で退職する人の大きな原因の一つでもあります。

 しかし、新聞屋のこれは警察学校のそれとは比べ物になりませんので、それを乗り越えた私は警察学校でそんな邪魔な感情は一切生じませんでした。

 

 警察官として扱われる環境の中でのそれと、猿扱いされている環境の中でのそれでは次元が違いますからね。

 

 そんな中で一番グサリと来た言葉が、朝刊配達中に大学生風の二人組と擦れ違った時に言われた一言です。

「おい!ヤバいよ!もう新聞屋さんがいる時間だよ」

 

 遊びに夢中になり過ぎてもう朝になっちゃった!と言う意味で発せられた言葉だと思います。

「私を見てこの言葉が出たんだ」

と感じた時にとてもグサリと来たのを今でも覚えています。

 今でも具体的にどこで言われたかを鮮明に覚えています。

 

 

<時間に制限がある>

 仕事優先とは言え、本人の目的としては大学やその先の就職です。

 そのための時間に大きな制限が加わります。

 仕事と両立しているわけですから当然と言えば当然です。

 

 私の場合は、

朝刊3時→ 大学 → 夕刊15時

だったので、遅い時間の必修科目がある曜日は休みを貰っていました。

 いくら仕事優先とは言え、流石にそこは優遇してくれます。

 

 かなり頑張らないと就職活動時期までに卒業単位は取得できません。

 つまり大学3年の後半からは仕事と就職活動と大学の授業、全部をこなすことになります。

 

 ただでさえ大変なのに、就職活動も加わるんですね。

 時間が足りない生活になります。

 これもデメリットだと思います。

 

 なお、そんな環境で警察官採用試験に現役合格した方法に興味があれば、こちらの記事をどうぞ。

【一日2時間、一ヶ月だけの勉強で警察官採用試験に合格した方法】

 

 

3、最後に

 新聞奨学生の大半は心が折れる経験をします。

 そこから這い出ることができるか?這い出せずに挫折するか?

 

 それは誰にもわかりません。

 私も結構ヤバかったことは何度かあります。

 

 その状態になっている時は、学校に行きたくなくなるんですよね。

 いわゆる鬱状態ですね。

 

 新聞配達の仕事は体に馴染んでいればこの状態でもこなせます。

 それこそ記憶がなくても配れるようになっていますので問題ないんです。

 

 ちなみに、これは比喩でも何でもなく、本当に記憶にないまま配れていることがあるんです!

 

 配達中に

「はっ!しばらく寝てた!」

なんてこともあります。

 それでも、その間の配達はキッチリしているんですよね。

 

 そんな精神状態から私が抜け出した時の話に興味があればこちらの記事をどうぞ。

【「日常とは?」貴方の日常を形成している人達に感謝の言葉を】

 

 新聞奨学金を検討してこの記事に辿りついた貴方!

 やり通す事が出来れば就職に困らないような生き方が待っているかもしれません。

 しかし、人生の挫折を味わう危険性もあります。

 

 貴方は本当にやり通せますか?

 

 新聞配達のアルバイト経験なんて何の参考にもならないくらいの過酷さです。

 よく検討して下さいね。

 

 

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