池袋暴走事故の被疑者が逮捕されない理由の説明と現場警察官の感情。
1、池袋暴走事故
東京都豊島区池袋において高齢男性が運転するプリウスが暴走し、歩行者や自転車に乗った母子等を轢き殺した事件。
件名では【事故】となっていますが、これは事件ですので、【事件】と言います。
被疑者の男性は年齢87歳。
「アクセルが戻らなかった」
「ブレーキが効かなかった」
等と供述しているとのこと。
しかし、世間の注目を集めたのはそこではなく、死者も出たこの事件で被疑者が逮捕されなかった部分です。
実はこの被疑者。
国の官僚幹部だった人物でした。
そのため、
「上級国民は逮捕されないのか?」
との見解が広まりました。
しかし、そんなことは有り得ません。
私も現場にいてそんな圧力を受けた経験は一度もありません。
この部分に関して説明したく記事を書きます。
2、逮捕されないケース
事件が発生したら必ずしも逮捕されるとは限りません。
逮捕と検挙の違いについてはこちらの記事をお読みください。
<逮捕要件を満たしていない>
紹介した記事に詳細は記載していますが、逮捕するためには逮捕をするための要件を満たしている必要があります。
何でもかんでも逮捕出来るわけではありません。
しかし、今回の事件では被害の大きさからも、この部分からの逮捕は妥当です。
そのため、今回の事件で逮捕しなかった理由は要件を満たしていないからではないと思います。
<拘留に耐えられない>
逮捕すると狭い留置場に入れます。
更に布団を自分で敷いたり、決まった時間内に自分で入浴したり、食事をしたり、和式ではないトイレを使ったり等々。
要は窮屈な場所で何でも自分のことは自分で行わなければならない生活を強いられます。
留置管理課の警察官も手助けは出来ませんので、それに耐えられない状態の者を拘留するわけにはいかないんですね。
拘留に耐えられないと判断されやすい状態は主に、
◎、重傷人
◎、重病人
◎、高齢者
等です。
今回の池袋暴走事件の87歳男性被疑者が逮捕されなかった理由はここにあると思います。
被疑者は怪我をしており、更に歩く事もほぼ出来ないくらいの高齢者。
あれでは留置場での生活は絶対に不可能です。
バリアフリーになんてなっていませんからね。
決して
【上級国民だから逃げても逮捕されず、平民は救助活動をしても逮捕される】
と言う部分での逮捕判断ではありません。
これも法に則っているだけです。
3、現場の警察官の感情は?
「でもお偉いさんが悪いことをして圧力が掛かったら有り得るのでは?」
と考える人は多いようです。
ハッキリと言います。
それはまず有り得ません。
その理由として、現場の警察官は立場とか、偉さとか、協力者だからとか、そんなことを言ってくる人を物凄く嫌うからです。
今回のケースで
「被疑者は元官僚幹部だから良しなに」
なんて言われたら現場の警察官はブチ切れます。
間違っても服従なんてしません。
「ムカつくからどんな手を使ってでもより重い制裁を加えてやる!」
と躍起になります。
そのくらい現場にいる警察官は立場とか、階級とかをカサにしてくる人を嫌悪しています。
あまり詳細は言えませんが、万が一無理矢理にでも抑えつけられた場合、事件が終結させられてしまっても、その後に様々な角度で、
「何が何でも、別件でも必ず捕まえてやる!」
と燃え上がる人も結構います。
この場合は刑事だけではなく、交通部門でも、警備部門でも、部署の垣根を超えることもあります。
そのくらいに現場の警察官は立場、階級、偉さ、利害関係等をタテにされるのを嫌っているんです。
「上級国民だから逮捕されない?」
絶対に有り得ません。
上級国民なんて言葉すら吐き気がするくらい大嫌いです。
4、最後に
今回の池袋暴走事件に関して、私は周囲の人達数十人に
「何であの犯人は逮捕されないの?やっぱり上級国民だから?」
と聞かれました。
その度に今回の記事と同じ回答をしてきました。
そもそも上級国民なんて言葉も、定義もありません。
上級国民と言う言葉は、他者に対して妬みや皮肉を込めるためだけに作られた、暗く汚い造語です。
そんな意図はないで使っている貴方は、下手に
【上級国民】
なんて暗く汚い言葉を安易に使わない事をオススメします。
要は人に対して
「クソ」
「キチガイ」
「チョン」
「えた・ひにん」
等と言っているのと同類の汚い言葉です。
【記事の紹介・拡散について】
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