元警察本部警察官が教えます!

元警察本部警察官の管理人が警察についてあれこれ書いています。他にも法律、裁判、福祉等についても少々!

貴方の安易な犯人批判は裏社会を活性化する! 警察は罪を憎んで、人を憎まず

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1、罪を憎んで人を憎まず

<日本の司法>

 グーグルで調べれば孔子がどうとか、それをキリスト教がどうとか出てきます。

 しかし、今回はそのことは関係なく、日本の司法制度はまさにこの考え方に基づく制度だと言うお話です。

 

 犯罪に罰金や有期の刑罰が設定されている時点で、更生を大前提に成り立っています。

 

 更生を期待しない制度なら、全て死刑か終身刑にならないと不自然ですからね。

 

 

<警察官>

 警察官もこの感覚を持っています。

 基本的に被疑者を憎みません。

 

 確かに事件は急に入ってくるためそれで予定等が潰れて

「ふざけんなよ!犯人め!」

と一時的な怒りは持ちます。

 

 しかし、それも最初の一時で、後は恨みません。

 これは綺麗事でも何でもなく、本当です。

 

 何故そうなるのかは、基本的に

【自称善良な市民連中】

のせいですね。

 

 詳細は様々な記事内に入れ込んでいますが、警察官は独善的な正義感を持っている、自称善良な市民こそ憎む傾向にあります。

 

 一方で被疑者はむしろ警察官を労わってくれる存在なので、自称善良な市民との対比で、被疑者自身を恨む感情はあまり強くありません。

 

 特に逮捕後は犯人を恨む感情はほぼなくなります。

 これは問題ではなく、むしろ捜査機関としては良い事です。

 

 これは情を持って被疑者に良くすると言う意味ではありません。

 それをしてしまっては大問題です。

 

 警察等の捜査機関は罰する機関ではありませんので、被疑者に対して恨みを持つことはいけませんので、ヒイキはしないが、恨みもしない。

 この状態がベストなわけですね。

 

 

2、芸能人・有名人の逮捕

 川崎市登戸通り魔殺人事件。

 池袋暴走事故。

等の凄惨な事件。

 

 ピエール瀧さんの事件。

 元TOKIOメンバーの山口達也さんの事件。

 元モーニング娘メンバーの吉澤ひとみさんの事件。

 酒井法子さんの事件。

等々の有名人の起こした事件。

 

「死にたいなら一人で死ね」

「上級国民のジジイがふざけるな」

「多くの人間に迷惑をかけやがって」

「芸能界の立場を利用した悪行」

「弟を事故で亡くしているくせに」

「介護やらないじゃん」

等々。

 様々な意見はありますが、人を責める意見が多い傾向にあります。

 

 これは罪を憎んで人を憎まずではなく、

【人を憎む】

です。

 

 そのため、これらの非難を見ていると私はとても違和感があります。

 先ほども言ったように、司法制度は

【罪を憎んで人を憎まず】

を大前提に存在しています。

 

 警察が介入して捜査が始まったと言うことは、この罪を憎んで人を憎まない制度に基づいて手続きが進むことを意味します。

 

 つまり、更生させることを目的に進んでいると言うことです。

 

 それなのに、そもそも更生の余地がないとか人格否定をするような意見

「???」

ではありませんか?

 

 私の書いた池袋暴走事故に対する記事はこちらです。

 

www.policefuta.work

 

 

 

3、被害者感情

 被疑者を擁護するような事を言うと必ずこのような意見を言われます。

「被害者の感情はどうなるんだよ!無視か?」

と。

 

 しかし、私から言わせると、

「被疑者更生と被害者感情を同じフィールドに持ってくるな!」

と言いたいです。

 

 これらは別々に考えるべき問題です。

 何でもかんでも一緒くたにすれば良いモノではありません。

 

 そもそも刑事訴訟被害者を保護したり、被害回復を目的にした制度ではありません。

 社会秩序を保つため、被疑者に刑罰を与えるための制度です。

 

 民事訴訟の損害賠償刑事訴訟で取れると勘違いしている人も多くいますが、そこは完全に切り離さなければなりません。

 

 民事訴訟なら被害者感情や被害を大いに訴えかけて良いのですが、刑事訴訟では少し違います。

 

 刑事訴訟でも被害者が感情をぶつけて、人を恨むのは理解できますが、全く関係ない部外者が人を恨むのはお門違いです。

 

 そのような部分から、普段から私が言っている、警察のストレスの大根源である

【自称善良な市民】

が生まれていくんですよね。

 

 

 被害者に近しい人等が、被害者本人を支援する方法等についてはこちら。

 

www.policefuta.work

 

 

4、最後に

 事件報道において、被害者でもない部外者が被疑者を非難するのは社会的にもマイナスです。

 

 非難の声が大きければ大きいほど、更生が遅くなります。

 私が知る限り、有名人じゃなくても、本当に普段真面目に生きて来ていた人が逮捕された後は、社会復帰は遅いです。

 

 世間の目が怖くて、家から数ヶ月は出れません。

 食糧調達で、出前か夜中にこっそり近所に買い物へ行く程度です。

 

 そして、その恐怖を越えるくらい膨れ上がる将来への不安、経済的不安

 それで、動き出す人がほとんどです。

 

 その動き出しが就職なら良いのですが、批判の声が大きいと裏世界に向いてしまう可能性もあります。

 裏の世界なら非難する人もいませんし、人目につきにくいですからね。

 

 つまり、安易な【人】批判は裏社会を活性化させたり、裏社会の人間を増やす事になり得ます。

 

 安易に批判している人達はそこまで考えが至って非難しているんでしょうか?

 

【罪を憎んで、人を憎まず】

 昔からの名言・格言ではなく、実社会に大きく影響が出るモノです。

 この機会にぜひ良く考えてみませんか?

 

 

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