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【女性にもAEDを使って欲しい問題】これってかなり難しい問題です。

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※ 本記事は兄弟サイトである

kaigofuta.com

に移転、又は違った観点から記事を作成する可能性があります。

 

 兄弟サイトも宜しく願いします。

 

 

 

1、女性にもAEDを問題

 

 貴方は意識不明になった女性にAEDがあまり使われていない現状をご存知でしょうか?

 

 その理由は公然と女性の上半身をはだけさせないといけないためです。

 

 処置者する者が男性だと、相手が女性では抵抗感が強いからです。

 

 処置者する者が女性だと、AEDを使うこと自体を躊躇し消極的なためです。

 

 意識不明状態で、脳への酸素が送られていない状態では、分・秒単位で後遺症の有無や命に関わります。

 

 しかし、倒れたのが女性というだけの理由で、処置することの出来る人が近くにいても、AEDがあっても処置されずに救急車が来るのを待たれることが多いんですね。

 

 そのことにより重篤な後遺症が残るケースがあるようです。

 これが

【女性にもAEDを使って欲しい問題】

ですね。

 

 

 

2、処置をしない理由

 男性が倒れている女性に対して処置をしたがらない理由。

 それは勿論抵抗があるからです。

 

 抵抗感は様々です。

 純粋に女性の服をめくると言う行為自体に抵抗があります。

 

 しかし、命を救うと言う状態なら、そのくらいの抵抗感は越えられる人がほとんどだと思います。

 

 しかし、それでもその抵抗を越えられない男性が多いのが現状です。

 そのため、恐らく一番の問題は性的な観点が絡んでくるからです。

 

 後に

「性犯罪だ!」

と訴えられたり、訴えられなくても言われるだけでも嫌ですからね。

 

「そんなリスクを負うくらいなら関わらない」

 このように考える男性が多いわけです。

 

 

 

3、女性の意見に対する男性の意見

<男性は不信感を持っている>

 この問題に対して、当の女性側の意見としては

「命を救ってくれた人に対して性的なこととして文句は言わない」

このような意見が多いように感じます。

 

 しかし、それを聞いても男性側は信用しきれません。

 何故か?

 

 それは、今まで散々と痴漢冤罪問題のような、何もしていない男性が性的な罪に問われる時代を長く経てきてしまっているからですね。

 

 痴漢冤罪に関しては別に女性が悪いわけではなく、本当に痴漢をしている男性と騒ぎたてる周囲に問題が有るだけだと思いますが。

 

 しかし、女性にAEDを使ってもらう問題において、痴漢冤罪で誰が悪いとか関係ありません。

 現実問題として、そのように不信感を持っている男性が多いと言うのが現実として考慮しないといけない部分です。

 

 

<男性は普段から不満を持っている>

 更に、罪に問われなくても、男性は普段から女性に対して不満を持っていることが多いです。

 

 それは何かと性的な部分に関して

「女性は笑って済まされることが多く問題なくて、何で男性はダメで犯罪と言われないといけないんだ」

のような部分ですね。

 

 具体例を上げるなら、女性は男子トイレに入っても逮捕されない事が多いので、男性が女性トイレに入ったら一発逮捕。

 

「そんなの当たり前じゃん」

と感じる人も多いかと思いますが、男性はこのような部分に結構不満を持っている人が多かったりします。

 

 最近問題視された女性専用車両へ男性が乗り込んだところ無理矢理追い出されたトラブルもその不満感情が爆発して発生したトラブルだと思います。

 

 

  痴漢冤罪に結びつく思考だと

「何もしていなくても捕まる世の中。下手に手を出したら負け」

と考える思考も理解は出来ます。

 

 

「人命のためなんだからそんな事言ってるな!倒れている女性をお前の家族だと思っても同じことが言えるのか?」

このような意見を、助ける選択をする男性からは見受けられます。

 

 しかし、私としては

「では、正義感によって罪に問われたり、風評被害を受けた場合に、その風評被害を受けた家族の身になった考えは出来ますか?」

とも思います。

 

 私は実際に何人か見ていますが、日本では風評被害なんて特に酷いですからね。

 外出どころか、まず今までの生活は出来なくなります。

 

 今の日本での風評被害は、自分と自分の家族の穏やかなこれからの生活を捨てる覚悟と言うレベルです。

 

「それだけのリスクを負ってでも手を出せ」

と他の人達に強く言えますか?

 それによって何か生じた場合の責任を貴方が負えますか?

 

 その後のトラブルやその男性家族の生活等にまで責任が負えないなら他人に強要すべきではありません。

 

 現実問題として、穏やかな生活を捨てなければならなくなる可能性がゼロではない以上はそこまでの責任は感じる必要があると思います。

 

 違法になるかどうかだけが穏やかな生活を壊す要因とは限らないのですから。

 

 

 

4、専門家等の見解

<まず罪には問われない>

「救命のためなら、肌を露出させたり、触れても罪に問われることはない。」

 法律には違法性阻却事由と言うものがあります。

 

 本来は犯罪行為なのですが、例外的に罪に問わないとする事柄のことです。

 主に3種類

◎、正当防衛

◎、緊急避難

◎、正当行為

です。

 

 正当防衛は聞いたことが有るかと思います。

 正当防衛に関してはこちらの記事を併せてお読みください。

 

www.policefuta.work

 

 今回の救命のために女性の上半身をはだけさせて、必要な限りで触れる行為は正当行為に該当すると思いますので、罪には問われる事はまずない。

 

 そのような事だと思います。

 私もこれに関しては同意です。

 

 ただし、法的に罪に問われないと言っているだけで、風評被害やその場で

「この変態野郎が!」

と言われない保証はされていませんけどね。

 

 

<金属は外す>

 更に、AEDは金属類は外さないといけません。

 AEDを使う時には、パットの間にある金属は外さないといけません。

 金属に電気が走り、火傷をしてしまうためです。

 

「女性の上半身を完全に裸にする必要はない。」

とのことですが、女性下着にはワイヤーが入っていると言われています。

 

「それは金属ではないのでしょうか?」

と言う疑問は残ります。

 

 男性はその辺りわからないので、普通は

「金属はダメ」

と言われていれば外すと思いますが、どうなんでしょうね。

 

 そういった部分にまでキチンと踏み入った啓発は必要だと思います。

 もっとも、そこまで踏み入った啓発活動をすると、救命講習への男性の参加率は落ちる可能性があると思いますが。

 

 

 

5、責任を問われなくなってからの問題

 ここまでは主にネット上の声を紹介してきました。

 ここからは私個人の勝手な見解です。

 

 確かに確実に罪に問われず、風評被害にも遭わない世の中になれば男性側としては女性に対してもAEDが使いやすくなると思います。

 

 それは処置をされる女性側にも良い事だと思います。

 しかし、私が問題視する部分はそのようになってから湧いて出てくる”ある男性達”です。

 

 それは、救命時における性目的の男性達です。

 

「救命の場面では罪に問わないし、罵声も受けない」

と言う事は、逆を返すと性目的の男性にとっては、合法的に性目的で女性の裸を見て、触れる事が出来る場面と言うことになります。

 

 処置に慣れない振りをして性的な行為をするなんて事くらい、性目的の男性なら考えます。

 

 現時点ではあくまでも

「命を救ってくれるなら」

と言う善意の男性に対しての感情として、女性は

「問題ない」

と意見されていると思います。

 

 しかし、意識を失っている女性に対して救命措置を名目に体が目的の男性が寄ってきたらどうですか?

 

 それでも

「問題ない」

ですか?

 

「何を捻くれた妄想を言っているんだ」

との声が聞こえてきそうですが、そのような男性って居るんですよ。

 

 申し訳ありませんが、経歴上性犯罪等の重罪に関しては多く扱ってきているので、この記事を読んでいる貴方よりはその辺り詳しいです。

 

 机上の理論ではなく、実務の話として性犯罪者とも性犯罪被害者とも、多く接してきているので。

 

 男性の性欲とはそのようなモノです。

 女性では理解できない部分は多いと思いますが、そのような輩は確実に居ます。

 

 男性でも理解出来ない部分は多いと思いますが、性癖とはそのようなモノですので、そのような輩は確実に居ます。

 

 

 

6、対策

 私は女性にAEDを使うこと否定派ではありませんので、別に普及を阻害したいわけではありません。

 

 しかし、

「正義感が強い人の善意が損をし、踏みにじられるくらいならやる必要はない」

とは思っています。

 

 そして、容認し過ぎるとそこそこ高い確率で性目的の男性が湧いて出てくる事も考える必要はあると言っているだけです。

 

 ではどうしたら良いのか?

 現状、特に女性が倒れることが多い場面はスポーツ大会等のようです。

 

 それなら、その際には必ず事前の同意書等を取っておくことではないでしょうか。

 

 意識を消失した場合には、救命処置として男性に上半身を裸にされ、肌に触れられる可能性があることを承諾してもらうわけですね。

 

 必ずしも処置に入る男性が慣れている手際の良い人とは限りません。

 

 パニックになり、必要ない部分に触れてしまう可能性もありますので、そのことも認識した上での同意ですね。

 

 現状としては、

「それに同意できないなら大会には参加出来ない」

くらいのことをする必要があると思います。

 

 そのくらいのことをしないで、ただの善意だけに頼り切るのは些か無責任過ぎると思います。

 

 

 

7、最後に

「基本的に女性は親しい男性以外に対しては警戒心が働く。壁を作る」

と言われています。

 

 これは現在では男性側も同じです。

「基本的に男性は親しい女性以外に対しては警戒心が働く。無関係な女性には近くに立たれるのも怖い」

わけです。

 

 近くに立たれるだけで

「冤罪で人生が終わるのは嫌だ」

くらいにまで頭では考えます。

 

 近くに立たれるだけでそのくらいまで考えてしまい恐怖心を持つ今の男性。

 

 それが、いきなり女性の上半身を裸にして、触れるって、綺麗事抜きにして本当にいきなり躊躇なく出来ると思いますか?

 

 私は難しいと思いますが。

 

 躊躇なく出来る人は救命関係に最初から興味がある人か、人の善意を何も疑う必要がない、綺麗事だけ、又は机上の理論だけを見て生きてこられた人くらいかと思います。

 

 私の感想・意見の話なので、貴方が同意してくれるかどうかは知りませんが、最低でも人を手放しで信じられるほど人の表面ばかりを見る生き方をしてきていないもので。

 

 

 

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