元警察本部警察官が教えます!

元警察本部警察官の管理人が警察についてあれこれ書いています。他にも法律、裁判、福祉等についても少々!

防犯対策で、防犯武器、護身術は襲われることを前提としており危険!

f:id:chakufuta:20190528092435p:plain

 

1、襲われること前提の防犯対策

「防犯対策をする。」

 このように考えた場合、多くの人は

「護身術を習う」

「護身武器を持ち歩く」

「防犯ブザーを持つ」

等を考えます。

 

 しかし、それしか対策をしない場合は全く足りません。

 何故か?

 これら全ての対策にはある前提が存在するからです。

 

 それは

【襲われること】

です。

 

 そうなんです。

 これらの対策は全て襲われることが前提の防犯対策なんです。

「襲われたときにどうするか?」

と言うことですね。

 

 しかし、防犯はそもそも襲われないようにすることが目的のモノです。

 そのため、これから話をしていく内容は全て危険な防犯対策と言えます。

 

「対策をしたから安心」

ではありません。

 

 そのような襲われないための

【防犯】

について色々と知りたい貴方は、まずはこちらの

 

www.policefuta.work

 

をお読みください。

 

 具体的な防犯知識やスキルを身に付ける前に基礎を身に付けて下さい。

 

 

 

2、その防犯対策は危険!?

 もし貴方だったら、変質者から身を守るために、どのような対策をしますか?

 又は、大切な人に対策をさせるために、どんなことをさせますか?

 

 多くの人は

「催涙スプレーとか、スタンガンを持つ。持たせる。」

「護身術を教わる。教わるように言う」

等かと思います。

 

 しかし、防犯のプロ視点だとどちらもダメです。

 【無駄】ではなく【ダメ】です。

 

 

 

3、武器所持がダメな理由

<理由①:純粋に危険>

 武器を持っていれば襲われてもその武器を使って撃退できるとの考えから武器を持つ対策を考えると思います。

 

 しかし、ここに落とし穴があるんです。

 

 それは

【自分を基準に、素手よりは強い】

と言うことですよね。

 

 しかし相手するのは自分ではありません。

 その基準で判断してしまうと次に挙げるようような危険を増すことになります。

 

 催涙スプレースタンガンは状況によって使い分ける必要のある武器です。

 その知識と使い分けるスキルがないと有効に使えません。

 

 下手をしたら犯人は無傷で、自滅だけします。

 

 更に、素人が何となく持っている武器なんて犯人に奪われる可能性すらあります。

 そうなると、武器を持っていたからこそ危険が増すことになります。

 

 単純な攻撃力向上だけの狭い目線で見ていると、リスクが見えにくくなるんですね。

 

 これらのことから、安易に武器を持つとの選択は危険を増すだけです。

 

 

 

<理由②:法的にアウト>

 度々議論されている部分ですね。

 しかし、基本的には違法行為になるのでアウトです。

 

「武器は持っていて大丈夫だよ!」

と主張する人の意見を見ると、特に法的な根拠となるような根拠は示せていません。

 

「だって、持てないなら、どうやって身を守れって言うんだよ」

のような感情論だけです。

 

 確かに武器を持ち歩く行為は状況によってはグレーな部分は存在します。

 しかし、それはかなり限られた状況にある人限定で、それでも検挙されるかどうか五分五分のグレーになります。

 

 正当防衛の要件や基準すらまともに知らない人が考慮できるようなケースではありませんので、基本的にはダメだと思って下さい。

 

 正当防衛の目安・基準はこちら。

正当防衛目安

 

 そして、リスクの高い武器の持ち歩きのために、身を守る目的で法的な難しい知識を勉強するくらいなら、防犯の勉強をして下さい。

 その方が何千倍も、何万倍も身を守る能力は高まります。

 

 防犯の基礎知識

 

 余談になりますが、隠し持ち歩くのも、堂々と持ち歩くのも違法です。

 ただし、家などに所有・設置しておくことは違法ではありませんので、勘違いしないで下さい。

 

 持ち歩くことが違法なだけなので、販売しているお店は違法店ではありません。

 

 

4、護身術がダメな理由

<理由①:根拠のない自信を持ちやすい>

 護身術自体はダメではありません。

 全くの素人が犯人と対峙するのと、戦う経験をしている人が犯人と対峙するのとでは雲泥の差です。

 

 しかし、私の選手としても、指導者としても、どちらの立場から見ても経験上、中途半端に技術を習得した人は、根拠のない自信を持ちます。

 

 そして、習得したスキルを活用したくなります。

 

 指導員級以上の人であればそんな人はほとんどいません。

 強い人ほど油断をしないってやつですね。

 

 そこにはあらゆる可能性を考え、リスクを抑える思考が働いています。

 だから、強い人には

「逃げるのが一番」

と考える人が多いです。

 

 根拠のない自信を持つ人は、

◎ 圧倒的な力の差による、無力さを経験したことがない。

◎ 中途半端に素人を相手にして圧倒的に強いと勘違いしている状態

これらの場合に特に顕著に見られるように感じます。

 

 そして護身術って枠組みで始めると、このどちらかになる可能性が極めて高いです。

 

 これは人の心理的な部分から護身術はダメとしました。

 

 

<理由②:法的な部分を考慮していない>

 護身術と言う名の武術はありません。

 身を守る術を総称して護身術と呼んでいるだけです。

 

 そのため、護身術を教えている道場によって内容は全く違います。

 しかし、そのほとんどは相手を撃退するような技を教えていたりします。

 

 道場師範が法学を学んでいるなんて稀ですので

「その行為が法的に違法になり得るのかどうか?」

まで考えられている護身術は稀です。

 

 一時期話題になった某護身術なんて、法律無視の代表的な護身術です。

 ネーミングは違いますが、それの内容を見る限り

【殺人術】

です。

 

 護身目的で相手を瀕死の状態にしたら、罪に問われ得ます。

 

 正当防衛・過剰防衛等の構成要件等の知識がないなら絶対にダメです。

 

 私が知る限り、この法的部分まで考慮されている護身術は警察の教えている【逮捕術式護身術】

だけです。

 

www.policefuta.work

 

 

 

5、最後に

 防犯を学んだ経験のない人が考える防犯対策がいかに危険性を持っており、危うい対策かご理解いただけましたか?

 

 そんな襲われた場合の対策として一番効果的で、身を守れる可能性が一番高い対策は

【防犯ブザーを持つ事】

です。

 

 効果的な防犯ブザーの選び方やオススメの防犯ブザー等についてはこちらをお読みください。

 女性や子供、高齢者はもちろん、成人男性だって防犯ブザーは持つべきです。

 

本記事を読んで、それでもまだ

「男だから大丈夫だよ」

なんて考えが出てくるようなら、貴方は何も学んではいませんよ。

 

 

 

【記事の紹介・拡散について】

 友人やネットの掲示板等に記事を紹介してくれる方がいらっしゃるようです。

 本記事は無断でも紹介可な記事です。

 

 読者登録をしていただくと更新記事等が読みやすいと思いますので、是非ご検討下さい。

  

 これからも宜しくお願いします。